講評

2(2)〔正答率68.0％〕正負の数（最大の数）
（最も多かった誤答）「－1」18.5％

「－1.4 より小さい整数のうち、最大の数はいくらか」という問題です。「－1」と答えたくなる気持ちも分かりますが、下の図のような数直線で考えてみると、これが正しくないことは明らかです。

数学において、あまり吟味をせずに反射的に答えたくなったときは要注意です。そのようなときこそ、落とし穴にはまらぬよう慎重に判断するようにしましょう。

3(2)〔正答率57.8％〕連立方程式の活用（年齢）
（最も多かった誤答）「Aさん … 9歳，母親 … 45歳」14.4％

「Aさんと母親の現在の年齢の和は54で、3年前は、母親の年齢はAさんの年齢の5倍であった」という条件から連立方程式を立て、それぞれの現在の年齢を「Aさん … 11歳，母親 … 43歳」と求める問題です。
「Aさん … 9歳，母親 … 45歳」と答えた受験生は、「3年前は」という条件を入れ忘れたまま連立方程式を立てたのでしょう。ただ、答えを書く直前にもう一度軽く問題文を読み直したり、少し検算を行っていれば、自身のミスに気づけたはずです。ミスというものは、このようなちょっとした心がけ・習慣づけで減らすことができる場合もあります。「単なるケアレスミス」という一言で済ますのではなく、次のテストに活かしていきましょう。

7(1)〔正答率21.2％〕平面図形（平行移動による通過領域）

下の図のように、AB=4cm・BC=5cm・CA=3cm の直角三角形ABC を、右に 2.5cm 平行移動させたときに、辺AB が通過した領域の面積を求める問題です。

平行移動後のようす（△A´B´C´）は、もともと問題中に図示されているので、あとは下の図のようにして、色のついた部分(平行四辺形ABB´A´)の面積を求めるだけです。

ここまでの内容は難しくはないのですが、多くの受験生が苦労したと考えられるのが、平行四辺形の高さ(図中の\( x \))の算出方法です。これについては、直角三角形ABC に注目してみるとよいです。角A が 90度 であることから「底辺が 3cm で高さが 4cm の三角形である」とみなすことができ、さらには「底辺が 5cm で高さが \( x \)cm の 三角形である」とみなすこともできます。

よって、直角三角形ABC の面積について、12×3×4＝12×5×\( x \) が成り立つので、これを解くと \( x \)=2.4(cm) と求まります。このような、直角三角形の面積にもとづいた算出方法は大変便利なので、これを機に覚えておきましょう。

2（知識・文法）は想定を下回りましたが、5（古文の読解）は想定を上回りました。1（漢字の読み書き）・3（文学的文章の読解）4（論理的文章の読解）はいずれも想定に近い結果が出ていました。試験全体の正答率はほぼ想定通りの結果となりました。

1(6)〔正答率31.5％〕漢字の書き　再興
（多かった誤答）「再構・再講」34.5％　「再（一字のみ）」12.0％　無答10.0％

問題文「優れた王が、滅びかかった国を見事にサイコウした。」をもとに、「サイコウ」の漢字の書きを答える問題です。
「サイコウ」と読む二字熟語は多数ありますが、問題文の内容が具体的で詳しいため、「サイコウ」が「（国を）再び盛んにした・再びおこした」という意味であることは類推しやすかったはずです。誤答した答案を含めて、大半の受験生が「再」は正しく書けていました。最も多かった誤答は、「再構・再講」です。また、「再」のみを答えていた答案も多く見られました。

2(4)〔正答率26.0％〕熟語の読み方　手間

二字熟語「手間（てま）」の「手（て）」・「間（ま）」がそれぞれ音読みか訓読みかを判断する問題です。選択肢はア「音音読み」・イ「訓訓読み」・ウ「音訓読み」・エ「訓音読み」・オ「ア～エのどれにも属さない特別な読み方」の５つあり、これらの中から正しいものを１つ選びます。
「手（て）」・「間（ま）」はともに訓読みであるため、正解は選択肢イ「訓訓読み」ですが、選択肢エの方が選択率は高くなっています。選択肢エを選んだ受験生は、「手（て）」が訓読みであることは正しく理解していたものの、「間（ま）」を音読みと判断したため間違えたことになります。「間」という漢字には「あいだ」という訓読みが別に存在するため、「間（ま）」を訓読みだと判断しにくかった可能性はありますが、そうした紛らわしい漢字こそ模試や入試で出題されやすくなります。小学校で学習した漢字だからと油断せず、音読み・訓読みを区別できるよう復習して知識を固めておきましょう。

5(2)〔正答率65.0％〕歴史的仮名遣い
（多かった誤答）「わずらはさじ」20.2％　「わづらわさじ」7.2％

古文中の語「わづらはさじ」を、現代仮名遣いに直して答える問題です。二字目の「づ」を「ず」に直し、四字目の「は」を「わ」に直すと、正解の「わずらわさじ」になります。
最も多い誤答は、四字目を「は」のままにした「わずらはさじ」でした。次いで多かった誤答は、二字目を「づ」のままにした「わづらわさじ」でした。
一字目の「わ」は、そのまま「わ」とおきます。ここを間違えた答案はあまり見られませんでしたが、一字目と二字目では仮名遣いのルールが変わることがあるので、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す際には注意しましょう。

発音1・書きかえ5・英作文7は全体的に想定を下回りましたが、整序6・読解8～9がそれをカバーしうる結果に至ったことで試験全体の正答率は少し想定を上回る結果となりました。

5(2)〔正答率35.7％〕書きかえ

You’re late.

(　　) (　　) (　　). 否定の命令文に書きかえる問題です。

（最も多かった誤答）You, aren’t(You’re, not), late 19.7％

「～してはいけません」という否定の命令文に書きかえる場合、Don’t の後に動詞の原形を置く表現を用います。この文の動詞はbe動詞で、その原形は be なので Don’t be late. が正解となります。今回多かった誤答は否定文ではあるものの命令文ではありません。これ以外の目立った誤答として、Don’t you’re late. Don’t you late. などありましたが、共通して言えることは you が入っていることでした。基本的には命令文は話している相手 (you) に向けた指示なので主語は省略します。命令文はパターンが限られているので be動詞 と 一般動詞 の基本構文を覚えておき、それを基にして日本語に応じた単語を差し替えることで対応しやすくなります。

7(1)〔正答率37.6％〕整序

私にとってこの箱を開けることは易しいです。

(　　) (　　) (　　) is (　　) for me.

日本文の内容に合うように、(　　)に適当な語を書く問題です。

（多かった誤答）Openで始まる解答 23.5％

｢～すること｣という表現は不定詞の名詞的用法か動名詞のいずれかを用いて表すことができます。「この箱を開けること」を 3語で表現しますが、不定詞を用いた To open this box では 4語となるため、動名詞を用いて表します。今回の誤答では Open this box is easy for me. となるような表現が多くを占めていましたが、この表現では動詞が 2つ( open と is ) 存在してしまうことになります。動名詞を理解できていながら Openning のつづりで n を重ねてしまっている答案や、この箱 this box が the box で表されている答案も散見されました。知識が無かったことで得点できないのであれば仕方ありませんが、問題をしっかり読めば正解できていた受験生も少なからずいたのではと思われる、その点が惜しまれます。

8(4)〔正答率37.6％〕読解

中学生の涼太と、その友人で留学生のリサが話している場面の一部です。

(本文抜粋)
Lisa : How will the weather be this Saturday? Do you know, Ryota?
Ryota : I hear it will be rainy.
Lisa : Oh, really? I was thinking about practicing tennis in the park, but I won’t do that then. I will clean my room in the morning. I don’t have anything special to do in the afternoon. Maybe I will watch TV or read some books. Do you have any plans for that day?
（中略）
Ryota : Hey, you said you have (　　④　　) special to do in the afternoon this Saturday. Would you like to come and learn how to cook with me?

(　　④　　)にあてはまるものをア～エから選ぶ問題です。

ア something　　イ anything　　ウ nothing　　エ everything

(　　④　　) をふくむ一文は「ねえ、君はこの土曜日の午後、特にすべき (　　④　　) を持っていると言ってたよね。」という意味です。
選択肢の意味は、ア「何か」、イ「何でも」、ウ「何も～ない」、エ「すべて」となりますが、リサの土曜午後の予定は本文の 4～5行目 I don’t have anything special to do in the afternoon.「私は午後には特にすることがありません」と言っています。それを涼太が思い出して確認の意味で言っているのが (　　④　　) をふくむ一文です。したがって、それと同じ意味を表す文にするには、ウを選択して you said you have nothing special to do in the afternoon this Saturday. 「君はこの土曜日の午後、特にすることがないって言ってたよね」とします。ほぼ同じような表現が同じ本文中に存在するものの、問題の文が21行目に対してそのヒントとなる文が、4～5行目と離れた位置にあることで少し難易度が高くなりました。この離れた距離の文を見つけることが出来なくても、相手の予定の確認をしたその直後に誘いの言葉をかけているという流れから予測して答えを導き出した受験生もいると思われます。このように長文読解においては全体の流れを意識した取り組みでヒントが見えてくることもあります。