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講評

2022年 11月実施

小5

小5

算数

平均点/満点 56.9点/100点
試験時間 40分
小問数 25問
1. 大問別正答率(想定と結果)

全体の正答率は、想定を下回る結果になりました。特に基本的な問題を多く含む12で多く失点していることが原因です。

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2. 小問別

2(5)〔正答率36.7%〕平面図形(合同条件)

図の2つの三角形ABCとDEFの合同について、選択肢ア~ウから正しいものを選ぶ問題です。

ア 角Dの大きさが分からないので、必ずしも合同とはいえない。
イ 辺の長さが分からないので、必ずしも合同とはいえない。
ウ すべての角の大きさが等しいので、合同である。

 

受験生が解答した選択肢の割合を円グラフで表すと、次のようになります。

 

与えられた図で、2つの三角形の「すべての角の大きさが等しい(ウ)」ことはわかります。しかし、辺の長さが等しいという条件がなければ、三角形の合同にはなりません。

このような三角形の合同条件は、小5で学習する内容ですが、十分に理解できているとはいえません。次は中2で詳しく学習しますが、この問題をきっかけにして理解を深めておきましょう。

 

5(1)〔正答率42.3%〕文章題(式を立てて答えを求める)

ガソリン1Lで20.4km走ることのできる自動車に、ガソリンを50L入れて走り始め、ガソリンが残り12.5Lになるまでに自動車が走った距離を求めます。

ここでは、50と12.5を必ず書き入れて1つの式に表すことが条件になっているので、正解は、20.4×(50-12.5)=765(km)です。

式・解答ともに正解した受験生は34%、式のみ正解した受験生は14%、解答のみ正解した受験生は7%です。

解答のみ正解の答案で大半を占めた間違った式は、20.4×50-12.5=765で( )が使えていません。

また、記述はしたもの無得点となった答案は34%もあり、その大多数が式に( )が使えていないものでした。

( )を用いて1つの式に表すことは小4で学習していて、小5では面積や平均など、さまざまな単元で扱われています。あやふやなまま進まず、きちんと身につけておきましょう。

 

8(1)〔正答率75.0%〕(2)〔正答率54.0%〕公倍数の利用

きまった時間ごとに点滅する3つの電球(A…6秒、B…8秒、C…9秒)についての問題です。

(1)は、AとBのスイッチを同時に入れてから、初めて同時に点滅する時間を求めます。6と8の最小公倍数である24秒が正解となります。誤答として最も多かったものは、6×8を計算して48秒後(12%)という解答です。

(2)は、3つのスイッチを同時に入れてから初めて同時に点滅する時間と、10分間に同時に点滅する回数を求めます。

時間・回数ともに正解した受験生は47%、時間のみ正解した受験生は16%、回数のみ正解した受験生は0%でした。

3つのスイッチを入れて初めて同時に点滅する時間は、6と8と9の最小公倍数である72秒後が正解です。もっとも多い誤答は、6×8×9を計算した432秒です。

(1)のような2数の最小公倍数を求める問題は、小学校の教科書では多く出題されていますが、(2)のように3数の最小公倍数を求める問題は2~3問しか扱われていません。このような機会に、教科書では扱いの少ない問題を特に意識して多めに取り組んでおくと相対的な得点力アップに役立つはずです。

 

小5

国語

平均点/満点 63.5点/100点
試験時間 40分
小問数 29問
1. 大問別正答率(想定と結果)

大問別の正答率は、3(言葉の書きかえ)を除いてほぼ想定通りの結果となりました。3の正答率が(1)・(2)ともに70%を上回ったため、想定を大きく回りました。

5は正答率が60%をやや下回りました。特に(3)・(5)の選択問題の正答率は50%を下回りました。

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2. 小問別

1(4)〔正答率38.4%〕漢字の読み 便乗
(多かった誤答)「べんじょう」約40%

半数近くの答案が「便」を「べん」と読んでいました。「便」という漢字には「べん」「びん」という二通りの音読みがあります。これを機会に「びん」と読む熟語を確認しておきましょう。

 

1(10)〔正答率11.7%〕漢字の書き 後進
(多かった誤答)「行進」約31%

「行進」という誤答が目立ちました。「行進」という言葉では「引退する」という文脈と合いません。漢字の書き問題では文脈を正しく読み取る必要があります。

 

4(3)〔正答率42.5%〕抜出 言いかえ 話したいこと
(多かった誤答)「援助を受けている」という内容を記述したもの約22% 無答約20%

優由が「話したいこと」を言いかえた表現を抜き出す問題です。

誤答の「(大叔父さんから)援助を受けている」という内容は正しいのですが、そのまま抜き出しても正解にはなりません。そこで、無理やり言葉を自分で変化させて記述したと考えられます。

抜き出し問題の解答は、本文を抜き出さなければ正解になりません。どうしてもリード文にあてはまらないときは、似た内容が別の部分に書かれていないか、粘り強く本文を探して答えましょう。

 

4(5)〔正答率56.3%〕選択 優由の人物像

誤答の偏りはあまり見られず、各ダミーの選択肢はそれなりに効いていたと考えられます。ダミーの選択肢が均等のような分布になっていたのは、どの選択肢も前半部分は正しい内容が書かれており、決め手となる選択肢後半の精査が不足していたため、どのダミーも同等に正解らしく見えたのではないかと考えられます。後半部分まで内容を精査できた受験生だけが正解にたどり着けました。

 

5(3)〔正答率45.1%〕選択 言いかえ そうはならずにすんだ

ほとんどの誤答は選択肢アに集中しました。選択肢アの後半「争いは全く起こらなかった」という部分は言いすぎであり、選択肢アを選んだ受験生はこの部分を見落としたと考えられます。「すべて」「全く」「全然」「必ず」などの言葉が選択肢に含まれている場合は、本文に立ち返ってそれらの内容があるかどうかを吟味することが大切です。

 

5(5)〔正答率33.9%〕選択 モグラをゆるす理由
(選択肢ごとの割合)選択肢ア約16% 選択肢イ約24% 選択肢ウ約28% 選択肢エ約60% 選択肢オ約65% 無答約6.5%

正しい内容の選択肢を二つ選ぶ問題です。正解は選択肢エ・選択肢オ(完答)です。

無答率は低く、受験生は落ち着いて取り組むことができたようです。

一番選ばれなかったのが選択肢アです。選択肢アの「畑に害を受けても多少はがまんすべき」は、本文中に書かれておらず、常識的にも正しいとはいえない内容でした。

選択肢アを除いた、ダミーの選択肢イ・選択肢ウを選んだ受験生の割合にそれほど差はなく、正しい内容の選択肢エ・選択肢オを選んだ受験生の割合にも大きな差は見られませんでした。本文と選択肢の内容を注意深く吟味する力が試される問題でした。

 

小5

英語

平均点/満点 72.0点/100点
小問数 37問
今回の出題意図

新学習指導要領に基づき、2020年度から、小学校での英語の授業が必修化されています。

習熟度に応じた検定試験は多く存在しますが、今回の学力テストでは全国の小学5・6年生が同じ問題に挑戦する、という実態調査の形をとりました。今後の学習の指針として、テストおよび結果をご活用ください。

今回の学力テストでは、次の力を問う出題を行いました。なお、出題内容は身近な単語や、外国語活動および授業でよく使われる表現を中心にしています。

1. 基本的な単語や文を聞く力
2. 基本的な単語や文を読む力
3. アルファベットや基本的な単語を書く力

英語必修化後、5・6年生では年間70コマの授業を通して、従来の外国語活動で重視されてきた「聞く」「話す」に加えて、新たに「読む」「書く」能力向上を目的とした教科学習を行います。
今回のテストでは「読む」「書く」の力を試す問題も盛り込むことで、小学生が、現状でどのくらい英語を読むことや書くことに親しんでいるかも併せて調査しました。

 

単語や文の聞き取り

[1]では「単語の聞き分け」を問いました。動物(dolphin)、や体の部位(shoulder)など、日本語でも聞きなじみのある単語を解答する問題は特によくできており、その正答率は共に90%以上となっています。一方で、dragonfly(トンボ)というやや難しい昆虫名の識別は77.4%とやや低い点数になりました。この大問全体の正答率は92.7%と非常に高い結果となりました。

[2]では「文の聞き分け」を問いました。大問正答率は91.5%でした。名詞の聞き分けや、数字の聞き分けはよくできていました。一方で、基本動詞の聞き分け問題(paint a picture / take a picture / buy a picture)が72.0%とやや低い点数になりました。

 

対話の聞き取り

[3]は大問正答率54.0%でした。(4)の正答率が36.4%と低くなりました。Yes/Noで答えるのではない、疑問詞(where)の問題でした。対話の聞き取りにあたっては、まず音声を通じて、数多くの文章のパターンを身につけることを心がけましょう。

 

アルファベットの書き取り

[4]ではアルファベットの書き取り問題を出題しました。大文字はよく書けていました。小文字は文字の高さがつかめていない誤答が多く見られました。小6になると小文字の習熟度も大きく上がっています。
「大文字を小さく書いただけ」というのが最も多い誤答のパターンです。また今回は、4線の使い方も採点基準としています。

[4]の正答率

  (1) D (2) M (3) Q (4) e (5) l (6) v
小5 99.0% 98.4% 95.4% 84.3% 84.3% 97.4%
小6 99.8% 99.6% 98.0% 98.4% 94.3% 99.0%

 

単語の書き取り

[5]では単語の書き取り問題を出題しました。大問全体の正答率は53.3%でした。最も正答率が高かった単語は(1)tenで、85.3%という結果になりました。

[5]の正答率

  (1)ten (2)melon (3)bike (4)sea (5)ring (6)house
小5 85.3% 26.0% 24.6% 17.6% 33.9% 42.2%
小6 92.0% 40.1% 39.3% 47.4% 49.1% 52.1%

 

アルファベットと単語の書き取り問題を通じ、いろいろな傾向が見えましたので紹介します。

①ローマ字との混同
ローマ字学習が英語学習にとってプラスかマイナスかは議論が分かれます。今回、ローマ字のルールで書かれた解答が多く見受けられました。
(正)ten - (誤)tenn

②鏡文字
bとdを混同する鏡文字での答案も見受けられました。アルファベットを練習するさいに、意識して区別しましょう。
(正)bike - (誤)dike

③LとRの混同
LとRを混同する答案も多くみられました。LとRは英語では全く異なる音です。つづりだけでなく、発音もしっかり区別できるようにしましょう。
(正)melon - (誤)meron

英単語を覚えるさいには、カタカナ読みにならないよう、英語の音をしっかり聞いて、英語のリズムでインプットしましょう。また、小学校の新指導要領で求められる「書く力」は、

①大文字、小文字を活字体で書ける
②簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができる

までですので、焦る必要はありません。現時点で「どのくらい書けるのか?」という力試しと捉えてください。

 

単語や文の読み取り

[6]では文を認識する力を問いました。小5の大問正答率は86.9%でした。名詞を区別する問題や時間の読み取りなど、いずれもよくできていました。位置を表す前置詞(in / behind / under)を区別する(5)の正答率が69.8%とやや低くなりました。

[7]では対話を読み取る力を問いました。大問正答率は56.3%でした。意味と文法の両方の理解が必要な問題が多かったので、やや難しかったようです。特に、疑問詞を用いた問題が、ほかに比べ一段低い正答率となりました。簡単な疑問文については、丸暗記ではなく、語順や答え方のルールも意識するといいでしょう。

 

アンケート結果との相関関係

今回、同時にアンケートを行い、テスト結果との相関関係を調査しました。

 

英語への興味・関心とテスト結果

まず受験者が英語に対してどんな興味・関心を持っているか見てみましょう。

 

どんなことをしてみたい

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多くの受験生が「旅行に行きたい」と思っています。さらに踏み込んで海外留学や海外生活を希望する人は17.5%ほどに留まりました。

 

次にテスト結果との関係をみてみましょう。

 

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留学や、海外での生活を志向する受験者の方が平均得点が高い結果となりました。逆に、英語に対してあまり興味がないと答えた受験者の得点が最も低くなりました。このように、興味・関心と平均点の間には相関関係が見られます。

 

学習期間とテスト結果

さらに英語学習歴を尋ねたところ、8割以上の受験者が学校以外に何らかの英語学習をしていることが判明しました。5年以上の学習者も約24%います。

 

 

では、学習期間は結果に反映されるのでしょうか?学習期間別の得点をみてみましょう。

 

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学習期間が長いほど、平均点が高くなる傾向が見られます。

 

英検資格とテスト結果

英検資格とテスト結果との関係についても尋ねてみました。

 

 

英語教育への注目が高まり、小学生のうちから英検をめざす子どもが増えているといわれます。受験者の中での英検資格保持者は約23%でした。教科化に伴い、この割合は次第に増えてくると予想されます。英検5級は中1内容です。中1のスタート段階で、すでに習熟度に相当の開きがある実態がわかります。

 

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英検の取得級と今回のテスト結果の間にも比例関係が見られます。興味をもった方は、英検にも積極的にチャレンジしてみましょう!

 

最後に

新指導要領の導入により、一層本格化する英語学習ですが、何よりも大切なのは、お子さま自身が英語への興味・関心を持つことです。アンケートでも示されたように、お子さま自身が英語に対して興味を持つことが、結果として英語力向上に繋がります。本、映画、旅行など様々な手段を活用して、知的好奇心を刺激し、お子さまの「英語ができるようになりたい」という意欲を育んで頂けたらと思います。

また、今回のテストは、競争ではなく、現段階での診断ツールとしてご活用いただきたいと思います。教科化に伴い、学校での授業内容がより高度なものになったことに不安を感じる方も多くいらっしゃると思います。こうした中でも、まずは「英語に苦手意識を持たせない」ことにぜひご留意いただき、お子さまが英語に触れる機会を継続して持っていただければと思います。

今回の学力テストが、お子さまのこれからの英語学習の一助となれば幸いです。

 

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