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講評

2023年 6月実施 小6

小6

算数

平均点/満点 58.2点/100点
試験時間 40分
小問数 26問
1. 大問別正答率(想定と結果)

平均点は、想定を少し下回る結果となりました。35の教科書学習内容~応用レベルの問題で想定を下回りましたが、67の初見の問題には対応できていました。

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2. 小問別

3(2)〔正答率52.3%〕速さの文章題(立式)

図のような、秒速0.8mで動く歩道の上を、AからBまで秒速1.2mで歩いたときにかかる時間を、式に表して求めます。式には0.8と1.2を必ず書き入れ、また、1つの式で表すことが条件です。

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正答率は52.3%ですが、式・答えでそれぞれ2点の部分点が与えられます。内訳は次のようになっています。

① 式・答えともに正解 … 49%
② 式のみ正解 … 2%
③ 答えのみ正解 … 6%
④ 解答したが不正解 … 32%
④ 無答 … 11%

正解は、96÷(0.8+1.2)=48(秒)ですが、③答えのみ正解の答案では、式を2つ書いているもの(0.8+1.2=2 96÷2=48)が大多数を占めました。式の条件を読み落としたことが原因と考えられます。

 

4(1)〔正答率49.9%〕十二角形の対称軸の本数

正六角形を2つ合わせて作った十角形の対称軸の本数を求める問題です。

 

正解は2本なのですが、誤答として最も多かったのは10本で、18%ありました。「正多角形の対称軸が頂点の数と同じになる」という知識を使ったものと考えられます。この問題の十角形は正多角形ではありません。図形の問題は、知識だけに頼らず、線や長さを図形にかきこんで考えることが大事です。

 

5(1)〔正答率81.1%〕(2)〔正答率35.2%〕割合の文章題

(1)は、400本中31%の本数を求める問題です。小5の後半で学習した内容というのもあり、よくできていました。

(2)は、400本中26%の本数を求め、それに対する13本の割合を求める問題です。先に求める部分(400×0.26=104)は、(1)と同様の手順なので、ほとんどの受験生は到達できたものと考えられます。最も多かった誤答は8%で、17%ありました。これは、104を求めたあと、104÷13=8として答えたものと考えられます。正しくは、13÷104=0.125より12.5%です。

ここで最も多かった誤答は、(比べる量)÷(もとにする量)の2量関係が正しく把握できていないことが原因となりました。また、一般に「大きい数÷小さい数」となりがちですので、「比べる量」「もとにする量」を判断する練習を繰り返し、思い込みで式をつくらないことを身につけてください。

 

小6

国語

平均点/満点 56.8点/100点
試験時間 40分
小問数 29問
1. 大問別正答率(想定と結果)

3(言葉の書きかえ)・4(文学的文章の読み取り)の正答率が想定を大きく下回りましたが、5(論理的文章の読み取り)の正答率が想定を大きく上回りました。他の大問はほぼ想定通りであり、全体的にはほぼ想定通りでした。

2(知識・文法)の大問正答率は想定通りでしたが、小問別に見ると、(3)・(4)「ことわざ」の正答率が想定を大きく下回りましたが、(6)・(7)「修飾語」の正答率は想定を大きく上回りました。文法問題はよくできていましたが、言葉の知識に関する問題の正答率は伸び悩みました。

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2. 小問別

1(9)〔正答率25.6%〕漢字の書き取り 荷札
(多かった誤答)「二札」約29% 無答約21% 「似札」約10% 「~礼」約9%

最も多かった誤答は「に」を「二」「似」「仁」などと答えたものでした。「荷札」という言葉に馴染みがなく、音だけで漢字を書いたのだと考えられます。「荷物に貼る札」という言葉を推測できたかどうかがこの問題のカギです。

また、「礼」「机」など、「札」の漢字ミスも散見されました。漢字の形を覚えるには、それぞれの漢字の意味を覚えること、漢字の形を覚え切るまで書き取り練習する必要があります。

 

2(4)〔正答率61.4%〕ことわざ 馬の耳に念仏

「ぶたに真珠」と似た意味のことわざを選ぶ問題です。「ぶたに真珠」は「どんなに高価なものでも、価値のわからない人には意味がない」という意味のことわざです。正解は、「いくら忠告しても効き目がない」という意味の選択肢ア「馬の耳に念仏」です。

誤答で最も多かった選択肢オ「とうふにかすがい」は、「手ごたえがない」という意味のことわざです。どちらの言葉にも無駄というニュアンスはありますが、「とうふにかすがい」には「どんなに高価なものでも、価値のわからない人には……」という意味はありません。一つの選択肢を正解だと思っても、他のすべての選択肢を丁寧に吟味する力が必要な問題でした。

 

3(2)〔正答率31.1%〕言葉の書きかえ
(多かった誤答)「選択肢イ・ウ」約53%

多義文の問題です。出題された文は、形容詞「大きな」が「いちご」を修飾するのか、「パイ」を修飾するのかによって文の意味を二通りにとることができます。

誤答の多くが、選択肢イと正解の選択肢ウを選んだものでした。選択肢イには「いつもより」という言葉が入っており、正解にはなりません。しかし、「大きな」という言葉を深読みして、「いつもより大きないちご」と解釈したと考えられます。「おやつに食べる」ものは「パイ」であること、つまり修飾関係が読み取れていません。

 

4(2)〔正答率22.5%〕選択 ぎくりとした理由

傍線部直後の「オレ」の心情の動きに注目します。「オレは、本当にマゲに同情して……」とあるものの、直後で「ことばの奥に、なにもふくんでいないと胸を張っていえるだろうか」と自分にその真意(=マゲに悪意を抱いている)を問いかけています。

選択肢イを選んだ受験生は、「マゲに同情して」という言葉を、言葉通りに受け取っています。別の部分で書かれている「オレ」の本心を読み取れていません。心情を丁寧に追うことが大切です。

 

4(3)〔正答率28.1%〕選択 「オレ」の気持ち

半数近くの受験生が選択肢エを選んでいました。選択肢エの内容は「お勉強がんばるのも親のためとかマジだっせー」という「オレ」のセリフの内容と一致していますが、それは「オレ」の本心ではありません。「妬ましかった」という心情語を押さえられていません。

セリフから心情を読み解くのは大切なことですが、本心とセリフが異なる場合もあります。セリフだけでなく、心情語、動作・態度などに注目すれば、心情理解につながります。

 

5(5)〔正答率74.1%〕選択 言いかえ 筆者の意見

「その紙飛行機を飛ばしているのは宇宙全体を覆う科学的法則なんです」という表現で筆者が主張したかったことを答える問題です。傍線部は抽象的な表現でしたが、筆者の主張が明白でした。印象的な「仮説と検証」という言葉が使われている選択肢ウを選びやすかったものだと窺えます。

 

小6

英語

平均点/満点 74.7点/100点
試験時間 25分
小問数 45問
今回の出題意図

新学習指導要領に基づき、小学校での英語の授業が必修化され3年が経過しました。

習熟度に応じた検定試験も多く実施されていますが、この学力テストは全国の小学5・6年生が同じ問題に挑戦するという形式で、現状での実態調査としています。今後の学習の指針としてテストおよび結果をご活用ください。

今回の学力テストでは、次の力を問う出題を行いました。なお、出題内容は身近な単語や、外国語活動および授業でよく使われる表現を中心にしています。

1. 基本的な単語や文を聞く力
2. 基本的な単語や文を読む力
3. アルファベットや基本的な単語を書く力

現在、小学校の英語教育では3・4年生には「聞く・話す」を中心に英語に慣れ親しむことを重視した内容で、5・6年生では「外国語科目」として新たに「読む」「書く」という内容を加えた教科学習を行っています。
今回のテストでは「読む」「書く」の力を試す問題も盛り込み、リスニング問題では昨年より問題数を増やし、小学生が、現状でどのくらい英語を読むことや書くことに親しんでいるかも併せて調査しました。

 

単語や文の聞き取り

1では「単語の聞き分け」を問いました。普段の日常生活の中で、日本語でも聞きなじみのある英単語を多く出題しており、この大問全体の正答率は99.4%と非常に高い結果となりました。

2では「文の聞き分け」を問いました。大問正答率は97.9%となり、特に(1)(3)(8)は99%以上の高い正答率でした。一方で、似た発音(swim/sing/ski)の聞き分けの問題(2)の正答率は96.3%と低くなっており、時刻についての数字の聞き分け(fifty/ten/thirty)に関する問題(5)の正答率も96.6%と誤答の目立つ結果となりました。

小学校での英語授業の定着も踏まえ、1は5問→10問、2では6問→9問と、今年度はリスニング問題の問題数・数時間をともに増やしていますが、とまどいもなく概ね良い結果となりました。

 

対話の聞き取り

3は大問正答率が45.6%でした。問題には絵や英単語・英文といったヒントとなるものがなく、ヒアリングのみの力がためされる問題です。(1)の正答率は22.3%とかなり低くなりました。これは、“ Can I ~ ? ” という申し出の質問文の意味を理解し、その応答表現を知っておく必要があったためです。対話の聞き取りのためには、まず数多くの文章のパターンを身につけること、そして何度も音声を聞くことを心がけましょう。

 

アルファベットの書き取り

4ではアルファベットの書き取り問題を出題しました。大文字はよく書けていましたが、なじみの薄い小文字の正答率がやや低く、小6になると小文字の習熟度が大きく上がっています。
「大文字を小さく書いただけ」というのが最も多い誤答のパターンですが、4線の使い方も注意して書くようにしてください。

4の正答率

 
小5
小6
(1) F
96.8%
98.8%
(2) L
93.0%
96.6%
(3) X
98.4%
98.6%
(4) d
90.5%
96.6%
(5) p
93.0%
97.4%
(6) y
93.7%
96.8%

 

単語の書き取り

5では単語の書き取り問題を出題しました。大問全体の正答率は44.3%でした。最も正答率が高かった単語でも(1)sixでも77.5%、知っているだけでなく、少しづつ書き慣れることが必要になります。

5の正答率

 
小5
小6
(1)six
56.1%
77.5%
(2)milk
45.5%
66.4%
(3)gloves
3.5%
4.6%
(4)money
9.8%
18.6%
(5)apple
32.5%
46.8%
(6)moon
33.1%
51.6%

 

アルファベットと単語の書き取り問題の中で見えた傾向をいくつか紹介します。

①ローマ字との混同
ローマ字学習が英語学習にとってどのような影響があるのかの議論は分かれます。今回でもローマ字ルールで書かれた誤答が見受けられました。
(正)gloves - (誤)grave(s)
(正)money - (誤)maney

②重ね文字
英単語にはhappy、baseball など、スペルの中に同じ文字を重ねる(続ける)ものがあります。意識して覚えるようにしましょう。
(正)apple - (誤)aple

英単語を覚えるさいには、カタカナ読みにならないよう、英語の音をしっかり聞いて、英語のリズムで身につけてください。また、小学校の新指導要領で求められる「書く力」は、

①大文字、小文字を活字体で書ける
②簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができる

までですので、焦る必要はありません。現時点で「どのくらい書けるのか?」という力試しと捉えてください。

 

単語や文の読み取り

6では英文を認識する力を問いました。大問全体の正答率は88.7%でしたが、小問別に見ると答えのポイントとなる英単語のジャンルよる正答率の違いが見られました。(1)candy、(2)desk、(4)singerといった名詞を問う問題がよくできていたのに対し、感情を表す形容詞(fine/sick/hungry)を区別する(3)の正答率が70.6%、位置を表す前置詞(on/under/behind)を区別する(5)の正答率が82.2%と低くなりました。

7では対話文を読み取る力を問いました。大問正答率は57.7%でした。質問 “ Are you a math teacher ? ” に対して、YesかNoで答えるBe動詞の疑問文(2)の正答率が最も高く、68.5%となりました。一方、(5)の “ How do you go to the station ? ” という「手段」をたずねる質問に答える問題は、正答率が47.0%と低くなりました。語学の習得では、まず基本となる対話パターンを覚える、その後、文脈に応じて自由な表現に対応できるようになる、という順番で学んでいくことが大切です。少しずつ、様々な対話パターンの表現を学習していきましょう。

 

最後に

小学校での英語教育が始まり、一層低年齢化が進む英語学習ですが、何よりも大切なのはお子さま自身が英語への興味・関心を持つことです。私たちの日常生活において身の回りにはアルファベット(横文字)が溢れています。歌、本、映画、旅行などをきっかけに、少しでも英語に興味を持つことで、知的好奇心を刺激し、お子さまの「英語ができるようになりたい」という意欲につながっていくことが、結果として英語力の向上にも繋がります。

また、今回のテストは、あくまでも現段階での診断ツールとしてご活用いただきたいと思います。教科化に伴い、学校での授業内容がより高度なものになったことに不安を感じる方も多くいらっしゃると思います。こうした中でも、得点に一喜一憂するのではなく、まずは「英語に苦手意識を持たせない」ことにぜひご留意いただき、お子さまが英語に触れる機会を継続して持っていただければと思います。

 

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