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講評

2023年 6月実施 小5

小5

算数

平均点/満点 55.2点/100点
試験時間 40分
小問数 25問
1. 大問別正答率(想定と結果)

全体の正答率は、想定を下回りました。特に4の教科書学習内容の問題で多くの受験生がつまずいてしまったことが原因です。

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2. 小問別

3(2)〔正答率61.1%〕文章題(式の内容)

2種類のおもり(A:1個15g、B:1個20g)を使って求めた、次の式が表す内容として正しいものをア~エから選びます。

ア おもりA が20 個と、おもりB が15 個あるときの、重さの合計の8 倍を求めた。

イ おもりA が20 個と、おもりB が15 個あるときの、重さのちがいの8 倍を求めた。

ウ おもりA とB が8 個ずつあるときの、重さの合計を求めた。

エ おもりA とB が8 個ずつあるときの、重さのちがいを求めた。

 

受験生の解答と選択率は、次のようになりました。

 

誤答の選択肢のうちイの選択率が高かったのは、記述内容の「ちがい」がひき算に、「8倍」がかけ算に相当すると考えたことが原因のようです。「20」と「15」の数値についての吟味ができていなかったようです。

 

4(1)〔正答率49.9%〕(2)〔正答率37.1%〕変わり方

周りの長さが30cmの長方形の、縦と横の長さについて調べた次の表について、(1)はア~ウにあてはまる数を求め、(2)は縦と横の関係を式に表します。

小4の教科書学習内容の問題なのですが、正答率がかなり低くなりました。

 

長方形の周りの長さが30cmなので、縦+横=15cmです((2)の解答)。よって、(1)はア13・イ12・ウ11となります。

これに対し、不正解の答案は、ほとんどがア28・イ42・ウ56で、46%にもなりました。これでは、縦と横の関係を表す式が、縦×14=横になってしまい、(2)も不正解となりました。

このような、変わり方について調べる問題では、2つの項目の関係を正しくとらえることが重要です。今回では、表の左端、縦1cm・横14cmが、なぜこのようになっているのか、図を描いて考えてみることが必要です。

 

7(1)〔正答率46.1%〕テープの長さ(重なりの理解)

図のように、2本のテープ(A:8cm、B:11cm)を1.5cm重ねたときの全体の長さ(アの長さ)を求めます。

 

この問題のポイントは、重なった部分の考え方です。2本のテープのうち、1本が重なった分短くなると考えることができるので、正解は、2本のテープの長さの和から重なりの長さをひいた、8+11-1.5=17.5(cm)になります。

ところが、不正解の答案では、重なった分長くなると考え、8+11+1.5=20.5(cm)としたものが最も多く、12%ありました。また、次に多かったものは、重なった長さの2倍をひいた、8+11-1.5×2=16(cm)で、7%ありました。

受験生の半数以上が、この重なりについての理解が不十分でした。問題を解き直す前に、プリントやチラシなどを2枚重ねてみて、全体の長さがどのようになるのか、実際に体験することで理解するのもよいでしょう。

 

小5

国語

平均点/満点 58.0点/100点
試験時間 40分
小問数 29問
1. 大問別正答率(想定と結果)

試験全体としては、すべての大問がほぼ想定通りの結果となりました。1(漢字の読み書き)は想定を若干上回る結果が出ていました。

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2. 小問別

1(7)〔正答率35.4%〕漢字の書き 秋分
(多かった誤答)「春分」約17% 無答約15%

最も多い誤答は「春分」でした。「春分(の日)」・「秋分(の日)」という言葉は知っていても、漢字の読み(「春=シュン」・「秋=シュウ」)が明確に区別できていないために間違えたものと思われます。

正解と同音の別の漢字を含む間違いとしては、他に「春文」・「秋文」などがありました。

 

2(3)〔正答率23.9%〕反対語 平等・差別
(多かった誤答)無答約27% 「無差別」約9% 「さべつ」約4%

「差別」の反対語を答える問題です。

「無差別」「さべつ」など、問題の趣旨・指示を無視した答案が多数ありました。問題と合わない解答は絶対に正解になりません。問題をよく読んで必ず指示を守って答えることが、得点アップにつながります。

 

2(7)〔正答率14.7%〕主語述語
(多かった誤答)「主語エ・述語カ」約26% 「主語×・述語カ」約23%

倒置の文の主語述語を答える問題です。

受験生の約58%が、述語を選択肢カと答えていました。通常の文では述語は文の末尾にありますが、倒置の文ではその順番が入れ替わっています。受験生の多くが倒置の文についての問題に慣れていないようです。

また、主語を選択肢カとしていたのは、受験生の約20%しかいませんでした。この文の主語は選択肢カ「かぎは」でしたが、末尾にあるために述語だと思い込んでしまい、主語の候補から外していたと考えられます。

 

3(1)〔正答率31.0%〕言葉の書きかえ
(多かった誤答)「かなり」を欠くもの約18% 文末を「寒くなりそうです」としているもの約11% 「かなり」を別の言葉で言いかえているもの約10%

伝聞「~寒いそうです」の文を様態「~寒そうです」の形に書きかえる問題です。

「かなり」が抜けた解答や別の言葉(「とても」「すごく」など)で言いかえたもの、句点ヌケなどの答案が多く、注意力を欠く答案が目立ちました。

 

4(3)〔正答率14.7%〕抜出 言いかえ 痛いところをつかれた
(多かった誤答)「料理も洗たくもそうじも、すべてママまかせ」という内容約33% 「ママの料理も手伝ったことがない」という内容約21% 無答約18%

多かった誤答はどちらも傍線部の近くにあり、見つけやすかったと考えられます。しかし、どちらも問題の字数と合わず、リード文にあてはまりません。無理に抜き出したり、言葉を書きかえたりするのではなく、問題の条件に合う似た意味の表現を探すように心がけましょう。

 

5(5)〔正答率30.9%〕選択 言いかえ その答がわかる

この問題は言いかえ問題であり、何が「わかる」かということが問われています。傍線部のある段落の最初に「大部分のツノゼミが、ふしぎな形のツノをもっている。しかし、そのツノが何ににているのか、わからないものがある……それが何であるのか想像することができない」とあります。この文脈から導き出される正解は、選択肢イ「どのツノゼミのツノの形が何ににているかが、すべて明らかになるということ」です。

最も多くの受験生が選んだのは選択肢ウでした。傍線部の直前に「ツノゼミたちは、いまはまだ変化の途中なんだ」と書かれているので、最も多くの受験生が「ツノゼミのツノが変化しなくなり」とある選択肢ウを選んだと考えられます。文脈を追わずに安易に直前・直後の言葉に飛びついても正解にはたどり着けません。

 

小5

英語

平均点/満点 66.9点/100点
試験時間 25分
小問数 45問
今回の出題意図

新学習指導要領に基づき、小学校での英語の授業が必修化され3年が経過しました。

習熟度に応じた検定試験も多く実施されていますが、この学力テストは全国の小学5・6年生が同じ問題に挑戦するという形式で、現状での実態調査としています。今後の学習の指針としてテストおよび結果をご活用ください。

今回の学力テストでは、次の力を問う出題を行いました。なお、出題内容は身近な単語や、外国語活動および授業でよく使われる表現を中心にしています。

1. 基本的な単語や文を聞く力
2. 基本的な単語や文を読む力
3. アルファベットや基本的な単語を書く力

現在、小学校の英語教育では3・4年生には「聞く・話す」を中心に英語に慣れ親しむことを重視した内容で、5・6年生では「外国語科目」として新たに「読む」「書く」という内容を加えた教科学習を行っています。
今回のテストでは「読む」「書く」の力を試す問題も盛り込み、リスニング問題では昨年より問題数を増やし、小学生が、現状でどのくらい英語を読むことや書くことに親しんでいるかも併せて調査しました。

 

単語や文の聞き取り

1では「単語の聞き分け」を問いました。普段の日常生活の中で、日本語でも聞きなじみのある英単語を多く出題しており、この大問全体の正答率は98.5%と非常に高い結果となりました。(1)eyeは他の選択肢に似た発音が含まれていたためか、96.5%とやや正答率は低くなりました。

2では「文の聞き分け」を問いました。大問正答率は94.6%となり、特に(1)(6)は共に98%以上の高い正答率でした。一方で、似た発音(swim/sing/ski)の聞き分けの問題(2)の正答率は86.4%と低くなっており、時刻についての数字の聞き分け(fifty/ten/thirty)に関する問題(5)の正答率も87.2%と誤答の目立つ結果となりました。

小学校での英語授業の定着も踏まえ、1は5問→10問、2では6問→9問と、今年度はリスニング問題の問題数・数時間を増やしました。

 

対話の聞き取り

3は大問正答率が37.6%でした。問題には絵や英単語・英文といったヒントとなるものがなく、ヒアリングのみの力がためされる問題です。(1)の正答率は19.0%とかなり低くなりました。これは、“ Can I ~ ? ” という申し出の質問文の意味を理解し、その応答表現を知っておく必要があったためです。対話の聞き取りのためには、まず数多くの文章のパターンを身につけること、そして何度も音声を聞くことを心がけましょう。

 

アルファベットの書き取り

4ではアルファベットの書き取り問題を出題しました。大文字はよく書けていましたが、なじみの薄い小文字の正答率は低く、小6になると小文字の習熟度が大きく上がっています。
「大文字を小さく書いただけ」というのが最も多い誤答のパターンですが、4線の使い方も注意して書くようにしてください。

4の正答率

 
小5
小6
(1) F
96.8%
98.8%
(2) L
93.0%
96.6%
(3) X
98.4%
98.6%
(4) d
90.5%
96.6%
(5) p
93.0%
97.4%
(6) y
93.7%
96.8%

 

単語の書き取り

5では単語の書き取り問題を出題しました。大問全体の正答率は30.1%でした。最も正答率が高かった単語でも(1)sixでも56.1%、知っているだけでなく、少しづつ書き慣れることが必要になります。

5の正答率

 
小5
小6
(1)six
56.1%
77.5%
(2)milk
45.5%
66.4%
(3)gloves
3.5%
4.6%
(4)money
9.8%
18.6%
(5)apple
32.5%
46.8%
(6)moon
33.1%
51.6%

 

アルファベットと単語の書き取り問題の中で見えた傾向をいくつか紹介します。

①ローマ字との混同
ローマ字学習が英語学習にとってどのような影響があるのかの議論は分かれます。今回でもローマ字ルールで書かれた誤答が見受けられました。
(正)gloves - (誤)grave(s)
(正)money - (誤)maney

②重ね文字
英単語にはhappy、baseball など、スペルの中に同じ文字を重ねる(続ける)ものがあります。意識して覚えるようにしましょう。
(正)apple - (誤)aple

英単語を覚えるさいには、カタカナ読みにならないよう、英語の音をしっかり聞いて、英語のリズムで身につけてください。また、小学校の新指導要領で求められる「書く力」は、

①大文字、小文字を活字体で書ける
②簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができる

までですので、現時点で焦る必要はまったくありません。「どのくらい書けるのか?」という力試しと捉えてください。

 

単語や文の読み取り

6では英文を認識する力を問いました。大問全体の正答率は77.2%でしたが、小問別に見ると答えのポイントとなる英単語のジャンルよる正答率の違いが見られました。(1)candy、(2)desk、(4)singerといった名詞を問う問題がよくできていたのに対し、感情を表す形容詞(fine/sick/hungry)を区別する(3)の正答率が59.9%、位置を表す前置詞(on/under/behind)を区別する(5)の正答率が62.2%と低くなりました。

7では対話文を読み取る力を問いました。大問正答率は47.9%でした。質問 “ Are you a math teacher ? ” に対して、YesかNoで答えるBe動詞の疑問文(2)の正答率が最も高く、56.6%となりました。一方、(5)の “ How do you go to the station ? ” という「手段」をたずねる質問に答える問題は、正答率が36.8%と低くなりました。語学の習得では、まず基本となる対話パターンを覚える、その後、文脈に応じて自由な表現に対応できるようになる、という順番で学んでいくことが大切です。少しずつ、様々な対話パターンの表現を学習していきましょう。

 

最後に

小学校での英語教育が始まり、一層低年齢化が進む英語学習ですが、何よりも大切なのはお子さま自身が英語への興味・関心を持つことです。私たちの日常生活において身の回りにはアルファベット(横文字)が溢れています。歌、本、映画、旅行などをきっかけに、少しでも英語に興味を持つことで、知的好奇心を刺激し、お子さまの「英語ができるようになりたい」という意欲につながっていくことが、結果として英語力の向上にも繋がります。

また、今回のテストは、あくまでも現段階での診断ツールとしてご活用いただきたいと思います。教科化に伴い、学校での授業内容がより高度なものになったことに不安を感じる方も多くいらっしゃると思います。こうした中でも、得点に一喜一憂するのではなく、まずは「英語に苦手意識を持たせない」ことにぜひご留意いただき、お子さまが英語に触れる機会を継続して持っていただければと思います。

 

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